電車の遅延で商談がパー!これって損害賠償してもらえるの?

   

「ムッチャ腹立つ~ぅ!!
 もう、やってらんない。」

 

営業先から帰ってきた、
同僚のA子が、大荒れです。 コエーョ(゚ロ゚;ノ)ノ

何事かと、聞いてみると、
商談先へ向かう電車が、人身事故で
大幅に遅延してしまい、

大切な商談に、大遅刻してしまったと
言うのです。

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A「一応先方も、話だけは聞いて
  くれたんだけどさ~、

  遅刻のこと、遠まわしにネチネチ
  言われるし、反応悪かったわ~。
  この分じゃ、契約はパーだわね。

  くやし~わぁ、何ヶ月も粘って
  やっとあと一息で、受注ってとこまで
  漕ぎつけたのに…。

  マジで、鉄道会社を訴えてやる~ぅ!」ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。ウワァァァン!!ハラタツ

 

日本の鉄道会社は、電車遅延が大変少なく、
海外に比べれば、とても優秀であると
言われていますが、

それでも、不意な事故や天候、混雑、
体調不良のお客様の介助など、
様々な理由で、電車は遅れるもの。

 
その様な場合、大事な商談に遅れて
契約が白紙になるなど、金銭的な損害を
被ることだって、ないとは言えませんよね。

もしもそんなことに、なってしまった場合、
鉄道会社にその損害を、補償してもらうよう
請求ができる、ものなのでしょうか?

 
営業で鉄道を、利用することが多い
私にとっても、気になるところです。

そこで、弁護士を目指して
法科大学院に通っている、友人のB君に
聞いてみることにしました。

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鉄道会社に損害賠償請求できるの?

B「電車の遅延で、鉄道会社に
  損害賠償請求を、できるかって?
  ありえね~!」

 
私「え~、どうして?
  受注するはずの商談が
  パーになったんだよ?」

 
B「あったり前ジャン。
  だって、そういう契約
  結んでるんだからね。」

 
私「契約?
  電車に乗るのに、一体誰が
  契約なんて、結んでるって言うのよ。」ω・。)?エ、ドウイウコト

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鉄道会社との契約とは?

B「電車に乗ったお客さんは、誰でもみんな
  鉄道会社との間に、『旅客運送契約』を
  結んでいるんだよ。」

 
私「マジで?!
  でも私、これまで駅で、契約したことなんて
  一度もないけど?」

 
B「商法の旅客運送契約、っていうのは、

  運送人つまり、営利事業として陸上運送、
  海上運送又は、航空運送を請け負う者が、
  旅客の運送を引受ける、契約のことなんだけど、

  その効力が生じる、タイミングは、
  運送人が、旅客を運送することを約し、

  乗客が、その運送賃を支払うことを
  約する時、っていうことに
  なっているんだ。

 
  つまり電車でいえば、切符を買ったり、
  定期券を購入したり、という行為を
  することで、

  乗客と、鉄道会社との間に
  契約が成立したことに、なるんだよ。」

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私「ビックリ!ヽ(゚Д゚;)ノマジ!!
  そんなことに、なってたんだ!

  それで、私達は鉄道会社と、
  一体どんな契約を、結んだことに
  なっちゃう訳?」

 
B「切符を買うことで、乗客と鉄道会社
  との間に『旅客運送契約が成立』し、

  それと同時に、切符を購入した乗客は、
  鉄道会社の『運送約款』に、従うことを
  承諾したものと、見なされるんだ。

  そしてこの約款には、鉄道会社は
  電車の遅延による、

  損害を負わないっていう、規定が置かれて
  いることが、ほとんどなんだよ。」

 
私「えっ!?そんなのアリ?
  そんな約款なんて、見たことも
  聞いたことも、ないのに!」(○`ε´○)ブー

B「約款は駅の窓口に、備え付け
  られているから、頼めばいつでも
  見せてもらえるよ。

  約款を読んで、内容に納得できなければ
  『契約を締結しない』、つまり

  切符を買うのをやめて、別の手段で
  目的地へ行けば、いいんじゃね?」

 
私「でっ、でも、時刻表があるじゃない!
  鉄道会社は、時刻表を守る義務が
  あるんじゃないの?」ヽ(`⌒´♯)ノ ムカッ

 
B「駅の時刻表に、『標準時刻表
  って、書かれていたりするのを
  見たことないかい?

  その意味って、その列車は『標準的』に
  その書かれている時間に、その駅を通るって
  言うことなんだ。

  つまり時刻表ってのは、不測の事態とか
  不可抗力、設備・車両に異常がないことを
  前提に、計画されているもので、

  出発時刻も、到着時刻も、
  『確約』じゃなく、『見込』なんだよ。」

 
私「それって結局、鉄道会社は
  時刻表通りに、運行する義務は
  ないってこと?」

 
B「実はさ~、約款による鉄道会社の
  契約上の義務は、

  乗り始めた駅から、目的地の駅まで、
  お客さんを、運ぶってところまで。

  『時間通りに』ってことまでは
  義務を負っていないんだ。

  つまり到着時間に、遅れないよう
  最善の努力をすれば、結果的に遅延しても
  契約違反には、ならないんだよ。

  第一、考えてもみなよ。
  ニュースなんかで、電車が遅れて
  何万人もの足に、影響が出ったって

  結構しょっちゅう、いってるじゃないか、
  その度に、全ての人の『損害』を
  鉄道会社が補償するって、ムリじゃね?」

 
私「…。 ┏(-_-|||)┓ガックリ
  それじゃ、これまで電車が遅れたからって
  訴えたりした、例ってないの?」

 

遅延を理由に訴えた過去の例

B「実際に、遅延を理由に鉄道会社に
  損害賠償を請求した事件も
  あったんだけど、

  裁判所は、

  『鉄道事業者は、不特定多数の旅客を
   有料で輸送するものであり、

   鉄道事業者が、列車の遅延について
   通常の債務不履行責任を、負うものとすれば、

   損害賠償額は、膨大な額と
   なり得ることが、予想され、

   大量の旅客を、低価で運送することが
   事業上、困難となるのであり、

   列車の遅延について、上記のような
   免責規定を設けることには
   相応の合理性を、認めることができる。』
 (東京地裁 平18・9・29)

  として、

  『列車の遅延について、原則として
   鉄道会社は、損害賠償責任を負わない
  という判断を、示しているんだ。

  結局裁判所が、これまで遅延によって
  鉄道会社の、責任を認めたケースは
  一つもないんだよ。」

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私「くぅ~。
  結局完全に、勝ち目がないってことか~。」

 
B「それだけじゃないよ。
  もし仮に約款によって、遅延による損害賠償が
  制限されて、いなかったとしても、

  損害賠償請求を、するためには、
  まず第一に、

  『鉄道会社との間に、運送契約が
   既に、成立していたこと』、

  加えて
  『電車の遅延がなく、商談できていたら
   100%成立していたこと』、

  『商談の場所に、行くためには、
   その電車に乗る以外の、
   代替手段が、なかったこと』

  『電車の遅延が、鉄道会社の
   過失によるもので、あること』

  の全てを、原告つまり乗客の側
  裁判で立証しなければ、ならないんだぜ。

  どう考えても、商談がパーになった損害を
  鉄道会社に、請求するっていうのは
  不可能に近いよ。」

私「そーなんだ…。」_| ̄|○ガックリ

 

おわりに

鉄道会社に、遅延に関する義務がないことを
今回初めて知りました。

 
そうであれば当然、商談がパーになった
からと言って、損害賠償を請求できるはずも
ないのですが、

滅多に遅れない、日本の鉄道に慣れてしまって、
ついついそんな理不尽を、言いたくなって
しまうんでしょう。

今後は電車は、遅延するものである、
ということを念頭において、余裕をもって
予定を組んでおこう、と思います。

 
そして万が一、約束の時間に
遅刻しそうな場合に

忘れてはならないのが、速やかに
会社や上司、訪問先の会社へ、
一報を入れること。

電車の遅延だから、どうしようもない
といって、連絡を入れないで、
遅刻するなどは、もってのほか!

 
そんなことでは、折角時間を空けて
待って下さっている先方を、

『遅い!』と、イライラさせてしまい、
それこそ、まとまるはずの商談も、
パーになりかねませんよね。

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